猿板

遊山黒子衆SARUの記録

和宏さんの山便り=北岳= 山守のこと

稜線をゆく

 2日目。早朝出発。
大門沢小屋より急登が始まり
今日の目的地農鳥小屋を目指しますが
高度が上がるにつれて頭痛、吐き気
だるさで気持ちは滅入ったままでした。
 < シコタンソウ >
 稜線では雨になりガスで足下が見えない中
横殴りの雨と吹き飛ばされそうな強風で
岩にしがみつきながら身をかがめて
少しづつ進み農鳥小屋が見えたときは
本当に安堵感を覚えました。

 ここ農鳥小屋のオヤジさんのことを
blogや山行記録などで小屋が汚い
食事がまずい、オヤジはいつも不機嫌で
小言が多いなどと書いている方がおられますが
白峰三山どちらから行っても遠い小屋を
個人経営で小屋主Fさんは頑張っておられます。

 大門沢小屋でのおじいさんとの会話でも
三山縦走中にまだ行けると北岳山荘を飛ばして
農鳥小屋に17:00に着いて酷く怒られたと聞きましたが
私は食事時間以降遅く着く事を反省すべきだと思うし
現にこの日もパーティが分散して
一人だけずぶ濡れになり深夜に下山出来たという
間一髪の遭難騒ぎがありました。
  < チングルマ >
 事故のないように皆が無事に下山出来るよう
山小屋のオヤジさんは心配してくれています。
 これが今の山の現状だと小屋主Fさんは
私達に静かに諭してくれました。

そんな無骨な山小屋のオヤジさんの
優しさを感じた農鳥小屋での一晩でした。

                     髭白きまで山を攀ぢ何を得し  福田蓼汀