猿板

遊山黒子衆SARUの記録

和宏花巡礼「ツツジの女王」 起

山岳鉄道

 西赤石山は元禄3年(1690年)
一人の山師が発見した銅の鉱脈が
当時世界一の量年間1,500tを産出し
住友家が巨大財閥となる礎となった山。
◆日本を支えたこと
 明治になり日本初の山岳鉄道を導入し
産出量は一挙に5,000トンに達し
この山中には最盛期1万2千人もの
鉱山関係者と家族が住んだと言われます。

◆人が関わったこと
 海抜1,145mから始まった採掘は
最深採鉱海面下1,000mに達し
坑道の総延長は700kmを越えた
世界でも類のない規模まで達しました。

しかし足尾銅山で知られる鉱害は
ここでも例外ではなく乱伐や煤煙により
山は丸裸となり山津波が頻繁に発生し
多くの尊い命が犠牲となりました。

そんな歴史も昭和48年に幕を閉じましたが
今も山麓に残る石積などに残る産業遺跡が
人が生きていた事を今に伝えています。

◆自然の力のこと
 人の関わりにより全てを失った山は
稜線にはツガザクラやアカモノなど
四国では他に見ることが出来ない
高山性の希少な植物たちが植生を形成し

山麓は土壌が奪われても生きて行ける
リョウブやヤシャブシ達が生え始め
元の姿に還ろうとしています。

やがてこれらの落葉により土壌が回復し
ブナなどの極相林に還るのでしょうが
私がそれを見ることは叶わぬ事なのでしょう。
  夏草や兵どもが夢の跡  芭蕉