猿板

遊山黒子衆SARUの記録

地走り梅雨の筒上山 山ノ巻

シロドウダン

 山の鞍部は風と雲を集める。
その変化を生み出す地形条件は
時に一期一会を見せてくれます。
◆鞍部でのこと
 シロドウダンが浮かび上がる。
ブナを中心とした広葉樹の森に
射し込んだ一瞬の光が
森の風景にアクセントを添える。

◆石段でのこと
 そんな変化の中にある山道は
神の山を信仰した先人達が積み
森が苔を纏わせた石段に至ります。

森と人との造形に添う様に咲く
天涯の花キレンゲショウマは
まだ固い蕾の中にありました。

◆修験の場でのこと
 長い石段は自然石の門柱を潜り
目の前に巨大な石垣が現れます。

ここは大峰宗石鎚山覚心寺の道場。
その人の手で積み上げられた石に
先人の厚い信仰心を感じます。

◆神域でのこと
 巨大な石積の上に座る筒上山は
「男山」石鎚に対する「女山」とされ
同じくご神体として祀られています。

一年ぶりとなる神の領域は
わき上がる雲の中にいらっしゃいます。

               夏山や雲湧いて石横たはる  正岡子規