猿板

遊山黒子衆SARUの記録

河童の日々遊山 道具屋のつぶやき

大切な思い出

 最近お店に入ってきて
何も言わず片っ端から試着して
黙って帰って行くお客さんが増えてきた。
 「きっとネットで買うんだね(笑)」
◆便利は最善か?
 かつて賑わった商店街は
空きテナントが多く閑古鳥が鳴く。
これから人が集まり賑わうのは
大型量販店の後はどこなのか?

より便利により安くを求める現代社会。
(人も人件費もより便利により安く)
そんな市場原理主義の流れに
温かさ感じないのは私だけでしょうか?

◆道具屋が売るもの
 ワイルドな自然と生身の人間が対峙する登山。
各自が臨むフィールドは気象に影響され
カタログデータだけでは対応出来ない場合がある。

また人間はぞれぞれ体力、骨相など違いがあり
たとえばサイズだけでは身体に合うか解らない
各個性を向かうフィールドに合わせていくのが
道具屋の経験であり「値札のない商品」です。

◆値段の価値
コストを抑えたネット販売は確かに安くて便利ですが
道具屋では経験に基づくアドバイスが付いてくる。
そのアドバイスはある意味「保険」であり
それで道具屋の生活が成り立ち文化も継承される。

単純に値段だけで選ぶネット販売と比べて
きちんと説明が出来る道具屋で正札で買うことは
私はけっして高い買い物とは思いません。

                       いく先に我が家ありけりかたつむり 山岡鉄舟