猿板

遊山黒子衆SARUの記録

和宏花巡礼2010「カタクリ」 人のあと

人の跡へ

 ここには「なすび屋敷」と呼ばれた
変わった名前の中持衆の宿屋があり
吹雪の晩「なすび」を売りに来た山女の妖怪譚が
その名に由来すると言われています。
◆人が生きていたこと
 かつて賑やかであった山中の宿場は
今では屋敷を支えていた石積みと
食用としていたであろカタクリ
その跡が残るだけになっています。

◆森が生きていること
 足を痛めた私にかわって
群生地を観てきたtochikoは
カタクリは去年と比べ
かなり数が減っていると言う。

そこにあった噛み切られた葉や糞など
桂子さんの見立てに寄れば
山の生き物達の食料になっている事が
原因となっているようです。

◆変わっていくこと
 でもここに咲くカタクリ達は
元々自生していたわけではなく
宿屋の食料として利用するため
持ち込まれたものと思われます。

そしてその役割を終えた今
本来の姿に還ろうとしているのかも知れない。

そのカタクリの種は再び人の手により
フォレスターハウスに移されつつあり
私はそれはそれで良いのではないかと思っています。
   片栗の一つの花の花盛り   高野素十