猿板

遊山黒子衆SARUの記録

タタラ棲む森の遊山 大台ヶ原で結ぶ

展望台から

「果ての二十日に伯母ヶ峰を越すな
 越せば一本ダタラに生き血を吸われる」
そんな歌が残る大台ヶ原へ向かった最終日
◆タタラの言い伝え
 吉野熊野、大台ヶ原では
普段は人に危害を加えない一本ダタラが
果ての二十日だけは例外的に
危害を加えると言う歌が残っています
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 「果ての二十日」(旧12月20日)は
忌み慎む日とされる「忌み日」で
外出や仕事などをせずに
精進潔斎やら神祭りを行う日でした。

◆畏敬の心
 山の神の祭日として入山を慎む「忌み日」
遭遇しやすい山には入るなと言うことでなく
山、自然に畏敬の念を持って接した
先人の戒めなのでしょう。

 その伝承の地「大台ヶ原」には
今日も沢山の人が訪れ
お天道様はその平和な笑顔に
渾身の恵を送ってくれていました。

◆背振降る山
 大台ヶ原は日本一雨が降る山で
天下の銘木「吉野杉」もその恵。
その広大な頂上部は
ブナとモミなどの森林に覆われています。

 しかし昭和36年ドライブウエーが開通し
大台ヶ原の環境や植生は大きく変化し
現在「自然再生計画」が取り組まれていますが
そこに至った最も大きな原因は
人の関わりであると私は思います。

◆神の峰に想う
 奈良を立つ日は穏やかに晴れ渡り
大台ヶ原の広い頂上部は
見頃を迎えた紅葉と
人々の歓声に満ちていました。

 タタラも山犬も人が誤らなければ
牙をむくことのない優しい神様。
 物言わぬ自然は人の行いを映す
鏡なのかもしれません。

 今、子孫を守る自然に帰る事を考えるなら
山犬や先人が残してくれたメッセージに
その道が有るように私は思います。

             形見とて 何か残さん 春は花夏ほととぎす 秋はもみぢ葉  良寛