猿板

遊山黒子衆SARUの記録

タタラ棲む森の遊山 山犬の森の宴

乾杯

 山犬を最後まで守った森で
みんなで「持ち寄り」
よく食べ、よく呑み、よく笑いました。
◆山犬のこと
 明治38年奈良県東吉野村で捕獲された
若いオスが最後だと言われる山犬。
ニホンオオカミ」の呼び名は明治以降で
古来、日本では「山犬」と呼ばれていました。
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 山犬は大陸のハイイロオオカミ
同じく絶滅したエゾオオカミなどとは別種で
日本固有種であったとも言われています。

◆いなくなったこと
 過去50年間生存の確認されなければ
その種は絶滅したとされ
山犬は絶滅種となっています。

 その絶滅にいたった原因は
害獣として処分の対象とされた他に
輸入された西洋犬の伝染病が原因と考えられ
いずれにしても人の生活が
深く関わった事に間違いは有りません。

◆心優しい森の長のこと
 謎が多い山犬の生態は
大規模な群れを作らず
2、3頭〜10頭程度の群れで行動し
山峰のススキの原などにある岩穴を巣とし
3頭ほどの子を生み暮らしたと伝えられ

 また警戒心が強い山犬は
自分の縄張りに入った人間の
後ろをついて監視する習性があり
「送りオオカミ」の由来となりました。

◆神になったこと
 その送りオオカミは人が手を出さない限り
決して襲って来ることは無い
むしろイノシシなどが避けてくれる為
送りオオカミは安全=安心に繋がったと言われます。

 家畜を襲う害獣として駆除され
童話でも悪役にされた「西洋」と違い
 農業社会であった「日本」では
食害をおこす動物を食べてくれる山犬が
犬神として各地の神社に祭られている事も頷けます。

 そんな事を酔った頭で考えながら
かつて山犬たちが駆けた吉野の森で
空に浮かぶ月を観ていると
何処かで山犬の遠吠えが聞こえた気がしました。  − 後編へ −
 
                   雲の峰 幾つ崩れて 月の山  芭蕉