猿板

遊山黒子衆SARUの記録

雲の上の花巡礼 孤高の花に会う

孤高の花

 キレンゲショウマは日本人が初めて
和名を学名とした1属1種の植物で
自生が稀な珍しい種と言われています。
◆天涯の花
 明治中期に四国の石鎚山
見つかった標本を元に分類されたこの草は
九州山地から四国山地紀伊半島
ブナ林の林床や湿った岩上に生える多年草です。
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 宮尾登美子さんは小説「天涯の花」で
剣山に生きた主人公珠子の言葉で
「まるで一つ一つの花が月光のように澄み、
清らかに輝いて見えた」と表しています。

◆道を外れる
 黒滝山の山腹にある横道から
斜面を葛籠折れに獣道を
幾度が足を取られながら下り
その群生地に辿り着きました。

 足を取られるのは土がないためで
植物の生育に必要な「土壌」が無い
石灰岩のガレが堆積した斜面は
植物にとって大変厳しい環境です。

◆孤高の花
 その花達は森の影地の深い谷筋に
人目を避けるように
月の光に例えられた明るい黄色を咲かせ
我々を迎えてくれました。

 他の植物が生きることが出来ない
厳しい環境にしっかり根を張り
やがて土壌が形成され
他の植物が育てば森に還っていく。

◆教えてくれたこと
 他に仲間のいない孤高の花は
生命力は強いが争いはしない。
 「道は単純で真っ直ぐが良い」

 月の色を纏った花は
その潔い生き方で
私にそう語ってくれた気がします。