猿板

遊山黒子衆SARUの記録

満月の夕べ 森と稜線で

秋晴れ

 私が今回使ったルートは
「韮生越え」と呼ばれる国越えの峠道
地元の方が安徳帝一行も通ったという
古くから人々が使ってきた道です。
◆秋の森
 林道終点から山道に入ります。
木々は落葉し森は冬眠に入り
見上げれば小枝の向こうに秋の空がのぞき
開放的な風景になりました。
 blog Rankingへ
◆異変
 しかし、何かが違う。
風景があまりにも明るすぎる・・・。
私は足を止め良く周りを見て
笹の葉が全くないことに気づきました。
 (以前の姿と対比します。)
 
                                          【2004年9月】
 韮生越えのある日当たりの良いこの南西斜面は
鹿の生息痕が色濃く見られた場所でした。
(茶色の刈り揃えたような草が笹の茎です。)
 
                                    【2005年10月】
 鹿が増えていると言われる中
これほどの状態とは思いませんでした。
林道口から稜線に至まで笹の葉は一枚も見られず
そして鹿の気配も全く感じません。

◆カヤハゲに想う
 カヤハゲに登れば三嶺が見え
三嶺が笹に覆われている姿に安心しました。
 私は人の往来がある稜線を避け
斜面を少しくだった日当たりの良い場所で
昼食のためザックを下ろしました。

 20年近く通い続けて初めて見るの風景です。
決して鹿が悪いとは思いません。
たった数年で起こった変化は自然とは思えません。
そして、ここで食べるものを失った鹿たちは
生き延びるためどこに行ったのか。
笹を失った山はどうなるのでしょうか。

◆気持ちを持ち直し
 あとは真っ直ぐ三嶺に歩いていくだけです。
最後の登りにかかり
天狗岩が見えれば頂はすぐそこです。

 三嶺南斜面のスロープは
秋の風が走る緑の笹に覆われ

 振り返れば私を励ましてくれるように
土佐湾から続く太平洋が輝いていました。

        びいと啼(なく) 尻声悲し 夜ルの鹿  芭蕉