猿板

遊山黒子衆SARUの記録

満月の夕べ 向かう道で

夜明け前

 私の四国の山行はいつも5時発
今頃は日も短く暗い出発になります。
 この週末は「満月」を狙って
三嶺の頂にテントを張ろうと思いました。
天気図を見ても穏やかに晴れるとの事
今回はどんな風景に出会えるのか。
 香美市物部町に近づく毎に
期待と共に白々と夜が明けて来ます。
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◆ゆずのこと
 実は物部町は「柚」の出荷量日本一で
今、収穫の真っ最中のようです。
 そして今宵の私の晩酌に必要な柚は
道沿いの「良心市」で仕入れる事が出来ました。

◆西熊渓谷のこと
 登り口は「西熊渓谷」の奧にあります。
その紅葉の名所は盛りを過ぎた様ですが
淡い色合いに踊る枝が美しく
私にとっては残花巡礼の趣です。

◆歩き始める
 いつもの林道の木々は葉を落とし
晴れ渡った秋の朝日が差し始めます。
 その落とした葉は錦の絨毯のようで
カサカサといい音を立て

 対岸に目を向ければ
冬眠に入った木々の枝に残った紅葉絡み
寂びた風景を見せてくれました。

◆再会の時
 その時、林道の下から何か走る音が聞こえました。
15mぐらい下を真っ黒い後ろ姿が駆けていきます。
見慣れた鹿でもカモシカでもありません。
それは紛れもない「ツキノワグマ」です。

 15年ぶりの再会でした。
「フッ」牙を意識させる低い力強い息を吐き
懸命に私から離れて行く姿がありました。

 その数わずか十数頭と絶滅のおそれが高い
四国のツキノワグマは本州の個体より一回り小さく
今まで四国では人が襲われた事はありません。
 私は、この心優しい森の住民が
いつまでも静かに暮らせることを心から願ってやみません。
 幸先良し