猿板

遊山黒子衆SARUの記録

鷲尾山物見遊山の巻 後編

kurokoshusaru2006-02-21

 やがて登山道は、稜線の縦走路に出ます。
この稜線は、西は筆山、東は烏帽子山に続く、
カシやシイを中心とした、
落葉照葉樹林の気持ちのよい道で、
植林の単調な風景から、変化の富んだ風景に変わります。
 おいおい、いきなり木に登るいくちゃん・・。
ドングリを沢山落とすこの林には、
猪が掘った穴もあり、動物も住んでいるようで、
イクちゃんも野生の血が騒いだようです。
 稜線に出れば、頂上はもうすぐです。
最後の急登をすすみ頂上に近づくほど空が明るくなってきます。

視野が開けた頂上に、30分足らずで到着です。
「うおぉーー!」と2人の悲鳴!
 高知市中心部側の北斜面は植林に遮られ視野はないのですが、
南側には思いっきり開けており、
この日は特に眺望が良く、眼下の浦戸湾で玉島、続島、衣が島などが、
池に浮く箱庭のようで、遙か室戸岬まではっきり見ることが出来ました。
「高知っていいなぁ」県外出身の2人は、いたく感動してくれたようです。
 実は太平洋戦中は、ここに敵機襲来に備えて観測所が建っていたほど見晴らしが良く、
昔は高知城を中心に、東西に延びた美しい眺めだったとのこと。
 また「高知県誌」(昭和三年)には、
『頂上には一つの雑木さえなく眺望豁然として、
南に浩蕩たる太平洋と浦戸湾一帯の明媚なる風光を下瞰し、
北に高知市街の殷盛を望み、市付近第一の名山である。』とあり、
やはり古くから、頂上付近に立ち木は全くなかったようです。

 我々が到着したときには、誰もいない貸し切り状態で、
バーナーと飯盒で飯を炊きながら、
眺望を堪能していると、多くの方が登ってこられました。
 皆さん知らないもの通しでも「こんにちは」と挨拶し合い、
談笑し、お弁当を食べ、楽しく過ごしていました。
 最近、雪が降って静かな山ばかりだったので、
無性に人の声が新鮮で、気持ちよく晴れた空に響いていました。
どうです?高知市民に広く愛されている鷲尾山に、
皆さんもお弁当持って、物見遊山しませんか?
県庁から頂上まで1時間も掛かりませんよ!