猿板

遊山黒子衆SARUの記録

眠れる巨人達の森Ⅱ 後編

kurokoshusaru2006-02-16

 やっとの思いで稜線に着きましたが、
ガスと吹雪。
ガスと雪で白一色になってしまう「ホワイトアウト」です。
(写真で撮ってもさっぱり解らないだろう・・)
山は高度差により気圧が低い稜線や頂上は、
風が吹き上がってくるモノです。
気圧が下がれば、水蒸気も水に変わります。
風とガスは山にはつきものです。
女神「三嶺」は今日も姿を見せてくれませんでした。
まあ、いっか!納得したし、寒いし、下山開始!
 雪の森の中を下るのは、ホントに自由です。
笹などのヤブで通れない所も、
雪が有ればどこでも道です。
勝手知ったる山間なので、
木々に導かれながら、サクサク下っていけます。
私はこれを「狐歩き」と呼んでいます。
正に自分が山に生きる獣になった気分が味わえる一時でした。

 実は今回、森以外に目的がありました。
この森には登山道からは決して見えない、
秘密の滝「百間の滝」があり、
きっと、氷を身にまとっているはず。
でもここに行くためには、
夏場でも、危険なザレた足場の悪い斜面を下らねばならない。
まして、この冬場は雪と氷でさらに近づきがたい状況になっているはず。
今回このために、50mのザイル(ロープ)などの登攀道具を持ってきました。
立ち木に、ザイルを固定し、雪が降り続く中、
慎重に凍った斜面を下りました。
ゴーッと音が近づいてきます。
落差15mの氷のシャンデリアを身につけた百間の滝の滝が、
その荘厳な姿を現しました。
この、この厳しく又優しい美しさは、とても書けません。
まして、私の写真技術で切り取れるわけもなく・・・。
でも、降り続く雪の中に氷の神殿が、
今目の前にあることは確かです。
私は、そこに山の神の権化を見た想いがしました。