この森の大切な居場所である、
「ヌル谷のナロ」(さおりが原)に行くためには、
林道を別れ沢を一つ越えねばなりませんが、
去年の土石流が橋と道を流し去り、
露出した岩壁を越えねばなりませんが、
見事な氷の壁になって立ちはだかっていました。(汗)
「やっぱね・・」
アイゼン(靴につける歯の様なもの)つけて、
おっかなびっくり登り、
やっとの思いでヌル谷にたどり着きました。
やはりここも氷の世界でした。
標高が比較的低いヌル谷は、(1,170m)
気温の変化の影響を受けやすく、
昨日の新雪が10cm位積もっていますが、
地面は完璧に凍っています。
雪は保温剤の役割をします。
外気温が、たとえ-20度以下になろうとも、
その中は0度以下に落ちることはありません。
ヤマネが雪の中で冬眠できるのもこのお陰で、
木々は大きく育てば大丈夫なのですが、
幼木の頃は雪に守られ越冬します。
雪は山を守っているのです。
この日私が見たヌル谷は
凍って死んでいる幼木達を沢山見かけました。
きっと温暖化により、寒暖の差が激しくなったせいでしょう。
でも、優秀な遺伝子を持った巨人達がいます。
この巨木に育つ確立は、1億個のドングリの中の1つだと言います。
きっと、この中でも強く生き残った種が大きく育ってくれると思います。
私を見下ろしている200年以上生きた巨人達は、
「心配ないよ河童さん。私達は姿を変えてでも生きていくから」
と言ってくれた気がしました。
気がつくと心なしか風景が明るくなっていました。