猿板

遊山黒子衆SARUの記録

穀雨の白髪山遊山 転

道標

 剣山から伸びる
縦走路の分岐に出たとき
雲は寒気の訪れを告げていた。


◆白髪山山頂
 登山口から約1時間で
笹覆われた白髪山の頂に立つ。
風に笹がサラサラ歌う
ここはいつも気持ちがいい。



三嶺を望む
 三等三角点がある山頂は
絶好の三嶺ビューポイント。
                    

 「もう少し歩きますか?」
私たちはさらに北に歩き
三嶺に近づくことにした。
                
◆残雪のこと
 ブナと樅が混在する縦走路は
冬期雪が深く幾度か苦戦した事もあるが
私の最も好きな場所の一つだった。



 「まだ雪が残っちゅうね」
この時期足下が緩いことを想定した
装備を準備する必要がある。
                   
                   
◆鹿のこと
 鹿除けネットが張られた縦走路は
かつて胸を超す笹に覆われていた。



 後のことを考え捕食する狼などと違い
鹿は植物を根まで引き抜き食し
餌がなくなり餓死するまで食べ続ける。
                    
 それは正常な鹿の習性だが
この山域に鹿が集中した事は正常か?
私は鹿だけ擁護するつもりはないが
それは人の増加に起因すると考えている。



 「ネット張っても追いつかん
   猟師も年寄りばかりでどもならん
    けんど心配はいらん種は鳥が運んでくる」
 ある奥物部の猟師もそう言っていた。
               
 この日今年も帰ってきた
鳥たちの囀りが山に響いていた。
鳥の渡りも人の増加も自然現象。
この地球上にはそれ以外はないと思う。



                         一枚の餅のごとくに雪残る  川端茅舎