薄暗く単調な杉林に
アオキの赤い実が目に付く。
花の乏しい冬に実をつけるため
江戸の昔から盛んに栽培されていた。
◆日陰の色合い
アオキは雌木が実をつけ
ヒヨドリなどが好んで食べる。
「葉の緑が濃いから
日陰に強いんだろうね」
◆人が関わり続けた山
かつて鷲尾山は
土佐藩の薪を賄ったお留め山。
今の杉林は戦後木材需要期に
植えられたものだろう。
裏山は人の暮らしと共に姿を変える。
私はそれを自然破壊とは思わない。
◆背骨に上がる
杉林を抜け主稜線に上がれば
再び椎や樫の照葉樹林に入る。
まもなく森が開き
まぶしい光の中に飛び出す。
鵯のこぼし去りぬる実のあかき 蕪村