猿板

遊山黒子衆SARUの記録

梅雨空の三辻山遊山 結

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 「頂上行かんでねぇ」

 行っても真っ白だろう。
今日の主役は梅雨雲の中やろうね。

◆古の道
  標高約1100mの三辻山は
日本の山毛欅の南限の一つで
特に樫山峠までの北斜面には
原生の森が保たれている。

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◆石積がある道
 四国山地の南に位置する土佐は
雨に恵まれた山岳地帯が多く良材を産し
山地の層も厚かったため漂泊民と言われた
木地師が長く滞在する里が点在していた。

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轆轤(ろくろ)を使い器などを作り
峠などに木地師の市が立った事が伝えられ
その峠を結ぶ木地の道が東は阿波と結ぶ物部から
西は伊予と結ぶ檮原まで確認されている。

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苔むした石積のあるこの三辻の山道も
古の木地師の道であったと私は思っている。

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 その深山で生涯終えたであろう人達は
どんな暮らしで何を思い生きていたのだろう。

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◆森の中のもう一つの森
 光る梅雨雲の中
霧雨が舞う森を歩いて
三辻山のまほらにはいる。

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 「ケヤキ平で聞いた囀りや」

渡りを終えて帰って来たか。

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きっと
姿の見えない鳥たちは
森を結んでいるのだろうな。

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霧の道現れ来るを行くばかり  松本たかし