大岩に祀られる祠に至る。
自然の恵みで生きてきた先人は
他国のような天上の神様ではなく
自然そのものが神だったのだろう。
◆山頂のこと
霧が小雨になりはじめたが
大岩は山頂の直下にあり
雲は薄く落雷の心配もなく
登頂してみることとした。
「真っ白やね」
これも一期一会だろう。
雨は吹き上がる風と共に止んだ。
さあ帰ってもうか。
◆朝顔に釣瓶取られてもらい水
「朝早く起き出してみると
井戸の釣瓶に朝顔がからみ咲いており
それをはずして水を汲むには忍びず
そのままにして近所からもらい水をした」
この他国の人は理解できないと言う
朝顔を擬人化した江戸時代の俳句は
先人の心をよく現していると思う。
◆ありのままであること
世界で最も自然に近く
他国から略奪しなくても
恵みだけで生きてきた先人は
自然を神として崇めてきた。
それは宗教でなく教祖経典のない崇拝で
時に荒ぶる自然から多くの知恵を得て
助け合う心も養ったように思う。
◆共に生きること
そして祖先は自然をじっと観察し続け
50億年繋いできた遺伝子の真理に近づき
もとの自然を排して造った里の環境でも
命と共生し新たな生態系を生み出した。
その代表的なものが稲で
稲も人に米を与え種を長ら
今やり玉に挙げられる杉も
先人と共生してきた様に思う。
「あんた
まだおったがぁ」
登りで会った蟾蜍が同じ処にいた。
気温が下がってきたきね。
登り口に降りたとき
ぽつぽつ雨が降りはじめた。
なんとか間に合ったな。
蟇闇のつづきの山負うて 桂信子